求女塚(もとめづか)② 兵庫民話(ひょうごみんわ)

ものがたり
かず
かず

菟原うない処女おとめ二人ふたり若者わかものは、どうなったのでしょうか。

 ある菟原うない処女おとめ父親ちちおやは、二人ふたり若者わかものんでいました。

「ここからすこ西にしったところに、いくがわというかわがございます。そこにはたくさんの水鳥みずどりんでおります。ゆみで、水鳥みずどりをしとめたかたに、むすめ結婚けっこんしていただきたいとおもいます。」

 むすめとその両親りょうしんまもるなかで、二人ふたり若者わかものは、おいしげったあしにかくれながら、水面すいめんをすうっとおよいでいる水鳥みずどりほうちかづいていきました。

かわの よこで おいしげっている あし

 やがて、菟原うないおのこは、ゆみをつがえ、水面すいめんおよ水鳥みずどりにねらいをさだめると、きりきりとゆみをひきしぼりました。そして、ヒューッとおとをたてて、はなたれました。

 ゆみからはなたれたは、ごと水鳥みずどりあたま命中めいちゅうしました。

 菟原うないおのこおおよろこびしてびあがりました。

 ところが、どうでしょう。あたまたる瞬間しゅんかん、どこからともなくんできたが、みずどりにもたりました。というのは、とりのおしりのところにえているはねのことです。

 そこにいるみんながおどろいて、んできた方角ほうがくますと、そこには、がいて、ほこらしげにゆみ高々たかだかげています。

このおはなしをもとに ニロさんがえがいた え

 途方とほうにくれた菟原うない処女おとめは、とうとう決心けっしんしました。

 ちちははわかれの言葉ことばべると、むすめは、さっとをひるがえし、あっというに、いくがわながれにびこみました。

 これをむすめ両親りょうしんは、びっくりしてこえしました。

 両親りょうしんがさわいでいる様子ようすから菟原うない処女おとめかわびこんだのをった菟原うないおのこは、たすけようとでもかんがえたのでしょう、さきあらそうように、かわながれにびこみました。

 しかし、いくらっても、三人さんにんのすがたが、ふたたび水面すいめんにうかんでくることはありませんでした。

 かなしいこいわった菟原うない処女おとめ二人ふたり若者わかもののおはかは、いまでも六甲山ろっこうさんのふもとにありますと。

(おわり)

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